第7章 企業文化の確立と人材育成

企業文化の形成

事業の拡大とともに、田中は「つなぐ印刷」が単なる印刷会社ではなく、社員が一体となり、顧客に価値を届ける企業 であるべきだと考えるようになった。そのためには、企業の文化や理念を明確にし、社員一人ひとりが誇りを持って働ける環境を作ることが不可欠だった。

田中は、「人と人をつなぐ印刷」という創業時の理念を改めて明文化し、社内に共有した。これにより、印刷物の品質向上だけでなく、社員一人ひとりが顧客との関係を大切にする文化が根付いていった。

人材育成の取り組み

企業が成長するためには、次世代の職人とリーダーの育成 が欠かせない。田中は、ベテラン職人の技術を若手に継承するための社内研修制度を導入し、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を積極的に行うようにした。

また、新しい技術や市場の変化に対応できるよう、社外研修やオンライン講座の受講を奨励。特に、デジタル印刷やマーケティング分野の学習機会を提供し、印刷技術だけでなく、ビジネス全体を理解する人材の育成 に力を入れた。

社員の働きがいを重視

田中は、社員がやりがいを持って働ける環境 づくりにも注力した。定期的な面談を実施し、社員一人ひとりの目標や課題を把握。給与体系や福利厚生の改善にも取り組み、安心して長く働ける会社を目指した。

さらに、社内コミュニケーションを活性化するため、社員が自由に意見を出し合えるミーティングや懇親イベント を開催。こうした取り組みにより、職場の雰囲気が改善され、離職率の低下にもつながった。

社会貢献と地域とのつながり

「つなぐ印刷」は、企業としての成長だけでなく、地域社会への貢献 も重要視した。地元の学校や福祉施設とのコラボレーションを積極的に行い、学生向けの印刷体験イベントや、地域のNPO団体への寄付活動を実施した。

田中は、「企業は利益を追求するだけでなく、社会に価値を提供する存在であるべきだ」と考え、社員にもその理念を共有。これにより、会社全体のモチベーションが向上し、企業のブランド価値も高まった。

次章では、創業30周年を迎えた「つなぐ印刷」が、これまでの歩みを振り返りながら、未来へ向けてどのようなビジョンを描いているのかを描いていく。

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