職人の世界へ飛び込む
大学卒業後、田中はより本格的に印刷技術を学ぶため、大手印刷会社に入社した。最初は工場の見習いとして働き、紙の種類やインクの特性、印刷機の仕組みを学ぶ日々が続いた。先輩職人たちは口数こそ少なかったが、細かな技術と仕事への厳しさを通じて、田中に多くのことを教えた。
印刷の技術とこだわり
印刷の現場では、1ミリのズレが品質を大きく左右する。特に、高級印刷物では色の再現性や仕上がりの質が重要視される。田中は、何度も試し刷りを行いながら、インクの濃淡や紙の質感の違いを細かく調整する技術を磨いていった。
「一枚の紙に命を吹き込む。そこに職人の誇りがある。」
この言葉を胸に、田中は日々の仕事に打ち込んだ。
独立への想いが芽生える
数年の修行を経て、田中は次第に「自分の印刷所を持ちたい」という夢を強く抱くようになった。大手企業での経験を活かし、もっと自由な発想でお客様のニーズに応えられる印刷を目指したいと考えるようになったのである。
次章では、田中が独立を決意し、ついに「つなぐ印刷」を創業するまでの過程を描く。