中小企業新事業進出促進補助金、新市場性or高付加価値性とは?
中小企業新事業進出促進補助金を申請する際、事業計画の根幹となる重要な選択があります。
それは、新規事業が「新市場性」を持つのか、あるいは「高付加価値性」を持つのかを明確にすることです。
この補助金は、中小企業が既存事業とは異なる新たな分野へ挑戦し、企業規模の拡大や付加価値向上を通じて生産性向上と賃上げを実現することを目的としています。本記事では、この二つの概念について詳しく解説し、あなたの事業計画をより説得力のあるものにするためのポイントを探ります。
新市場性とは?
「新市場性」とは、新たに製造または提供する製品等(製品、商品もしくはサービス)が属するジャンル・分野が、社会における一般的な普及度や認知度が低いことを指します。
この要件を満たすためには、そのジャンル・分野の普及度や認知度が低いことを客観的なデータや統計を用いて示す必要があります。
特に重要な点は、ジャンル・分野を区分する際に、製品等の「性能」「サイズ」「素材」「価格帯」「地域性」「業態」「顧客層」「効果」といった具体的な要素を排除して定義することです。
区分の例
- 不適切な区分例: 「高精密小型医療機器部品」
- 適切な区分例: 「医療機器部品」
- 理由: 製品の「性能」「サイズ」といった要素を含めて区分するべきではないため。
新市場性は、補助事業で取り組む新規事業が事業者にとって新規事業であることに加え、社会全体から見ても一定の新規性(一般的な普及度や認知度が低い)を有していることが求められます。
高付加価値性とは?
一方、「高付加価値性」は、たとえ社会における一般的な普及度や認知度が高いジャンル・分野であっても、その中で高水準の高付加価値化を図る事業を指します。
この要件では、以下のステップが求められます。
- まず、新規事業の製品等が属するジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格を調査・分析します。これには、客観的なデータや統計等(中小企業庁「中小企業白書」、総務省「経済センサス」、民間調査会社やシンクタンクの調査資料など)を用いることが推奨されます。
- その上で、自社が製造・提供する新製品等が、これらの一般的な水準と比較して、いかに高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるかを具体的に説明する必要があります。
- 高付加価値化・高価格化の源泉となる自社の価値や強みの分析が妥当であるかも審査の重要なポイントとなります。
高付加価値化・高価格化の例
- 事業内容: 建設業者が既存事業での木材に関する知見を活かして、オーダーメイドの無垢材木製家具の製造に取り組む事業。
- 高付加価値化の源泉: オーダーメイドや無垢材という製品の特長に加え、既存事業の知見を活かすことで、他の木材家具にはない高付加価値化を図る事業として評価されます。
補助金申請における重要性
事業計画書では、「新規事業の新市場性・高付加価値性」の項目で、このいずれかを選択し、選択した方に応じた具体的な内容を記載する必要があります。
審査では、選択した要件を事業が満たしているかが厳しく評価され、どちらも満たさない場合は補助対象外となります。
まとめ
中小企業新事業進出促進補助金の申請において、「新市場性」と「高付加価値性」の選択は、事業計画の方向性を決定づける重要なステップです。
ご自身の事業がどちらの要件に合致するかを深く検討し、客観的なデータと明確な論拠をもって事業計画を策定することが、採択への鍵となるでしょう。